「ネバー、ネバー、ネバー、ネバー ギブアップ」

野田佳彦首相は4日の年頭記者会見で、消費増税を含む税と社会保障の一体改革で、来週中に消費増税の与野党協議を呼び掛ける考えを表明した。衆院議員の定数削減などの協議日程も示したが、早期の衆院解散を目指す自民、公明両党に歩み寄りの気配はない。足元の民主党内でも消費増税への反発は根強く、首相の意気込みは「空回り」している。(5面に会見要旨)
首相は一体改革について、▽週内に政府・与党の素案を決定▽来週の早い段階で野党に協議を呼び掛け▽大綱をまとめ、今年度末に消費増税法案を国会に提出−−とのスケジュールを描いた。野党だけでなく、民主党内の増税慎重派に挟まれた首相には、先手を打って今後の政治日程を示し、政権運営の主導権を握る思惑がある。
民主党の輿石東幹事長は4日の記者会見で「野党に協力いただけない、それでも諦めないのが政権与党の使命だ」と述べ、野党の協力なしでも消費増税法案を提出する可能性に言及した。自民、公明両党も将来の消費増税の必要性は認めており、協議を拒み続ければ世論の批判は野党側に集まる−−首相と輿石氏にはそんな強気の読みがある。
しかし、肝心の与野党協議は「舞台」すら整っていない。民主、自民、公明の3党協議は昨年末の国家公務員給与の削減や郵政改革法案などで暗礁に乗り上げ、再開の見通しは立っていないからだ。民主党国対幹部は「いつ野党側に呼び掛けるかなど、具体的な話はまだ下りてきていない」と首をひねった。
首相の記者会見を受け、民主党内の消費増税反対派も動き出した。反対派は「与野党協議が整わなければ法案を提出できない」と主張。小沢一郎元代表のグループは昨年末に合同勉強会を発足させ体制を整えており、首相が消費増税法案の国会提出を目指す3月に向け、動きを強める。
首相は記者会見で、ナチス・ドイツの攻撃をしのいで勝利した英国のチャーチル元首相の言葉を引用し、「ネバー、ネバー、ネバー、ネバーギブアップ」と強調した。しかし、精神論の域を出ず、正念場の通常国会を「出たとこ勝負」で迎えようとしている。【木下訓明、小山由宇】
◇解散求める声相次ぐ
野田佳彦首相が来週中に消費増税の与野党協議を呼び掛ける考えを示したことについて自民、公明両党など野党各党は4日、一斉に協議入りに否定的な考えを示した。
「私どもはそういうこと(消費増税)を提唱する資格はあっても民主党政権にはない」。自民党の谷垣禎一総裁は4日の三重県伊勢市内での記者会見でこう述べ、首相の呼び掛けた協議に応じない考えを強調した。
自民党は衆院の早期解散・総選挙での政権奪還を目指し、対決色を強めている。10年参院選公約で「消費税率10%」を掲げたが、12年運動方針案は「まず無駄の徹底した削減等を行い、社会保障制度と消費税を含む税制の抜本改革を進める」と、無駄の削減に力点を置いている。
谷垣氏は「政権の方向性を示して国民の信頼を問い直す前提があれば、話し合いができる」とも指摘。首相が話し合い解散を提案した場合、前向きに応じる可能性も示した。
公明党の山口那津男代表は「政府の出すものが曖昧であれば、何を協議するのか」と述べ、消費増税分の財源で賄う年金の改革案を示すよう要求。「国民の審判を事前に仰ぐことなしに消費増税法案提出の資格はない」(共産党の志位和夫委員長)、「国民に信を問うのが憲政の常道」(みんなの党の渡辺喜美代表)と衆院解散を求める声が相次いだ。【吉永康朗、岡崎大輔】
【政治の最新記事】



